カーボン新素材グラフェンメソスポンジの研究


西原 洋知 (ニシハラ ヒロトモ) さん

東北大学 材料科学高等研究所

研究の背景

Sp2炭素から成る同素体には黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンのほかにも、活性炭、カーボンブラック、炭素繊維など様々なものが存在します。基本的にはどれもグラフェンが寄り集まった構造をとりますが、グラフェンは非常に積層しやすい性質があるため、積層を防ぎつつ3次元の骨格構造を作ることは、従来は困難でした。一方で、私たちのグループではナノメートルスケールの微小な鋳型材を利用して積層を防いだグラフェンを成長させた後に高温でのジッピング反応で欠陥を消滅させることで、カーボン新素材「グラフェンメソスポンジ」を創生しました。

研究の成果・ポイント

グラフェンメソスポンジは積層の無いグラフェンが数nmレベルの連通ナノバブル構造(模型の写真参照)をとっており、エッジと呼ばれるグラフェンの端が殆ど含まれておりません。このため、グラフェンの特性である高比表面積、高耐食性、高導電性、機械的柔軟性および強度を併せ持っており、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池、燃料電池、その他先端の二次電池に有用な電極材料や導電助剤としての応用が期待されています。

(写真の説明)グラフェンメソスポンジのナノ構造の模型

今後の展望

2022年2月に東北大発スタートアップ「株式会社3DC」を設立し、グラフェンメソスポンジの社会実装を進めています。研究開発および量産が進み、グラフェンメソスポンジが世の中の役に立つことを期待しています。

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