新規低分子ゲルの革新的機能の提案

丸山 達生 さん

神戸大学大学院 工学研究科

 ゲルは食品、医薬品、日用品等様々なところで活用されており、その歴史は相当に古い。これら多くのゲルは天然高分子あるいは合成高分子でできているが、最近低分子が自己組織化して繊維状三次元ネットワークを構成し、ゲルを形成する低分子ゲルが注目を集めている。この自己組織化は、非共有結合的な分子間の弱い相互作用に基づいており、低分子ゲルの特徴として種々の刺激(熱、酵素、光等)に応じたゲル-ゾル転移があげられる。この低分子ゲル化剤は、比較的小さな分子であるが故に望む機能をその分子構造に書き込むことができ、それ機能を遠隔で制御・発現させられることがわかりつつある。私たちは、「合成した低分子ゲル化剤がガン細胞選択的に細胞内で自己組織化し、この自己組織化に基づいた抗ガン活性を発現しうる」ことを初めて明らかにした。これまでの薬理活性は主に単一薬剤分子の機能として考えられていたが、本研究により比較的単純な小分子が多数集まり、組織化することで、新たな薬理活性が発現するという全く新しい薬理概念を世界に提案することに成功した。今後この概念を拡張し、低分子ゲル化剤が別の作用機序を有する薬理活性を示しうること、また薬理活性とは異なる機能性材料としての使い方を提案していく予定である。


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