血管内皮細胞における動的な生体維持と破綻メカニズム:二光子顕微鏡を用いた可視化解析

西村 智 さん

自治医科大学 分子病態研究部

 細胞は形質膜という境界面で定義され、恒常性は膜の内外で保たれています。では、生体・個体はどう考えたらいいのでしょうか。私は、個体は血管によって定義されると考え、生体血管を二光子顕微鏡で画像観察する研究を行ってきました。血管内部は外界と繋がり多様な情報が常に入力されていますが、一方、臓器・組織の内部(間質)は血管内皮というバリアにより隔てられています。血管と間質の境界面では、機械的、機能的、免疫学的、といった多様な意味でのバリアを構築しています。この境界面が破綻することが病態ではないか、という着想で研究を進めています。図のように内皮損傷は、免疫反応の惹起であり、炎症の誘導であると考えています。実際には、生体観察の技術を独自に開発し、多様な病態モデルを作成し、生体の画像解析を重ねています。この手法では、血栓形成といった急性反応、白血球の遊走を含む炎症過程、さらには慢性の臓器再生や組織修復も惹起・観察可能であり、適応される疾患は多岐にわたると考えています。


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図の説明
二光子顕微鏡を用いた生体画像観察例