疎水性ナノ空間中水分子の特異水素結合形成機構の解明

大場 友則 さん

千葉大学大学院 理学研究科

 ナノ空間中に吸着された分子はナノサイズまで制限された空間とナノ空間場の影響を受け、バルクにおける分子挙動とは全く異なる挙動を示すことが知られています。この特異な挙動がナノテクノロジーの利用の上で重要な役割を担っているが、特に疎水性ナノ空間中における水・電解液挙動はこれまで十分に理解されないままでした。
 我々は、水の疎水性カーボンナノ空間における分子集合構造、およびその挙動の解明を行うとともに、水系電解液においてもナノ空間中での挙動の分子論的理解に取り組みました。特に、1次元カーボンナノ空間に束縛された水・電解液の構造や挙動を調べることで、ナノ空間中の水・電解液の分子論的挙動の解明をおこないました。疎水性ナノ空間中では水はバルクの水よりもより強固な水素結合が形成されます。また、電解液もバルクと比べ、より強固な水和構造が形成される一方で、水分子間の水素結合は著しく弱められていることが明らかとなりました。
 このナノ空間中での特異な挙動は水を介した固体界面と反応物質との化学反応の理解や、生体膜中ナノ空間における水の生体機能の制御機構の理解の上で重要な役割を果たすと考えられます。
 また、蓄電デバイスにおいてもナノ空間中の電解液挙動が重要な役割を果たすため、極めて重要な知見が得られたといえます。 この特異な挙動を利用することで、ナノサイエンスやナノテクノロジーの発展に貢献できると考えられます。


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