界面の化学制御を利用した光制御可能な磁性材料の開発

栄長 泰明 さん

慶應義塾大学 理工学部

 「磁性を光で制御できる材料」は、次世代の光磁気デバイスへの観点から1996年頃から世界的にも盛んに研究され始めましたが、現在に至るまで、その光制御は極低温でのみ実現しうるという純学問的な研究分野でありました。そのような中我々は、「界面の化学的制御」を利用するという新しいアイデアで、制御温度、制御効率等、徐々にその性能を向上させた材料を多く設計、合成してきました。そして2007年、ついに「室温強磁性体での光制御」に成功しました。さらにその後、室温にて、磁気記録に必要な大きな保磁力を備え、垂直磁気記録へも展開できる磁気異方性を示す「光磁性体」を化学的手法にて創製し、光磁気記録媒体としての可能性をも示しました。
 さらに我々は、この界面の化学的制御という考え方を拡張し、磁性のみならず、そのほかの物性の光制御の戦略として提示することを試み、実際にこの方法論を用いることで、世界で初めて「超伝導特性の可逆な光制御」にも成功しています。
 我々のこの一連の研究成果は、このような「化学の力を利用して物理物性を制御する方法」として学術的な重要性をもつのみならず、新しい材料機能化の概念として、実応用材料創製の可能性を高めることにもつながると考えています。