コロイドアモルファスが示す角度依存性のない構造色発現機能の発見

竹岡 敬和 さん

名古屋大学大学院工学研究科

 我々は、角度依存性のない構造色を示す材料が、粒径の揃ったゲル微粒子集合体から得られることを発見した。そして、この“角度依存性を示さない構造発色”のメカニズムを調べるうちに、本系は “コロイドアモルファス”を形成していることで、角度依存性のない構造色を示すことを見出した。
 構造色の起源となりうるフォトニックバンドギャップが材料に生起するためには、可視光波長と同程度に屈折率が周期的に変化した構造が必要と考えられている。サブマイクロメーターサイズの球状コロイド粒子が分子の結晶と同様に整然と並んだ状態にあるコロイド結晶は、まさしく、屈折率が可視光波長のサイズで周期的に並んでおり、その粒径と屈折率に応じた特定の波長の可視光を選択的に反射するため、コロイド結晶は構造色を示す。このような系では、光の反射のメカニズムがブラッグの条件に従うので、その構造色には角度依存性が生じる。
 一方、我々が用いた柔らかなゲル微粒子の集合体は、共焦点顕微鏡写真より、周期性のないアモルファスな状態にあることがわかった。アモルファス状態は、周期性がなく、長距離の秩序性がないので、ブラッグの条件による光の反射は示さない。しかし、短距離秩序を有することが原因で特定の波長の光を反射する性質を持つようになることが示唆された。このメカニズムの解釈には、電子系のバンドギャップ生起の条件においてしばしば用いられる“電子束縛モデル”によって説明できると考えている。
 本研究成果において、申請者が発見したゲル微粒子が形成するアモルファス構造による“角度依存性のない構造色の発現”は、構造発色性を示すためには、材料に屈折率の周期性があることが必須であるという従来の考えを覆すものである。